凧は空に浮かぶ手作りのオブジェ。自然が引く凧糸の感触。手の届かないところで織り成す微妙なバランス。凧作りの奥深さは人を惹きつけるものがあります。

エピローグ

凧の揚がる原理を大きく分けて、揚力と安定性の2つの観点から説明してきました。その中で、安定性の原理については、それがそのまま凧作りのコツのような内容になったと思います。

凧絵この凧作りのコツとなるものは、まだまだたくさんあるのですが、あまりにも多くの内容となるため、原理を説明するのに必要なものに止めました。

そして、今回の凧の原理を書きながら、伝統文化としての凧には、先人達の蓄積された知恵と技術が今に伝えられていると感じています。

さらに、科学技術の進化により、新しい素材が生まれ、それを駆使しての凧も開発されています。それは、現在も凧は進化していることを表していると思います。


動力を持たず空に浮かぶ凧は、手の届かないところで自然の風と織りなす絶妙なバランスで揚がっています。この、なんとも不思議な空の造形物には人を惹きつける魅力があります。

その魅力を少しでも感じていただければ幸いです。

追記: 今回の「凧の揚がる原理」を、見やすいように一つのPDFファイルにまとめました。通してご覧になるには便利かと思います。

>>「凧の揚がる原理」PDFファイルはこちら。

凧に付けるしっぽについて

これまで、凧自体がバランスを保つためのからくりや原理を説明してきましたが、ここでは凧に付けるしっぽについて、説明を加えておきます。

凧のしっぽは、その重さによって凧を安定させるのではありません。

凧のしっぽ
図29のように、しっぽは風になびいて、凧の表面に沿って引っ張る力が働きます。

この、凧の面に沿った力によって凧が回ってしまうのを防ぐことができます。

しかし、しっぽの代わりに、糸で重りを吊しても、十分に凧を安定させることはできません。

凧のしっぽの原理
図30の(a)のように、棒を一点で支えて、一方を引っ張っていると、支点を中心に回転することを防いでくれます。

しかし、(b)のように、棒の一端に重りを吊すのでは、簡単に支点を中心に回転させることができます。

このように、凧のしっぽは、凧の面に沿って、引っ張ることで安定を保つことができるのです。

そうなれば、凧のしっぽは、図29のように風になびき、風が当たって凧の面と同じ方向に伸びていくような素材の物でなければなりません。

新聞紙のような紙を細長く切ってしっぽにすることがあります。紙のような軽い物でも凧を安定させることができるのは、風を受けて凧を引っ張り、安定させてくれるからです。しっぽの重さ(重量)で安定させているわけではありません。

さらに言えば、風になびく軽さがあるからこそ、しっぽの役割を果たしているのです。

しっぽを付けることは、凧を安定させる簡単な方法であり、その効果も大きいものです。

そのため、多くの凧はしっぽを付けて揚げています。

しっぽの種類も筒状の吹き流しのようなものや風を受けて回転するものなど、その形状や素材も様々なものがあります。

さらには、しっぽにもデザインを施し、しっぽを含めて一つのオブジェとしている凧もあり、機能性だけでなくデザイン性を高めることにもなっているようです。
 

「糸目の中心」とは

これまで、凧自体が安定を保つための仕組みをいくつか例に挙げてお話ししてきました。

凧をうまく揚げるためにはバランスの保てる凧を作ることが大切ですが、風が当たってバランスを保てるかどうかの一番の要因は糸目にあります。

凧に付けた何本かの糸目をどこで束ねるかによって、凧の風に対する傾き方が違ってきます。

糸目と凧の角度
風が凧を押す力と糸で凧を引っ張る力が大きくずれていると、凧が少しでも傾くと元に戻そうとする力が及ばず、そのまま回転してしまいます。

糸目の中心がずれると
糸目を束ねるところは、左右対称になるように、凧の中心線上にこなければならないのは当然ですが、さらに、上下のどの位置にくるようにすればいいかが問題となります。

この糸目の付け方(束ね方)がずれると、凧は意外とシビアに反応し、安定が保たれなくなります。

そこで、糸目のバランスを正確に知るための方法として、結び目から束ねた糸目を絞っていき、凧のどの位置に来るかを見ます。

この行き先が、「糸目の中心」と呼ばれているものです。

糸目の中心

このような方法で見ると、糸目の左右の長さが合っているか確かめることができるし、上下の長さの微調整をすることもできます。


「糸目の中心」がどこに来るかで、糸目の長さを調整することは、糸目の付け方の精度を格段に上げることができます。

凧の作り方を書いた書籍でも、この糸目の中心の位置を示しているものが多くあります。

多くの場合は、この「糸目の中心」が凧の長さの上から3分の1とか30%程度のところにきます。

しかし、これは、おおよその位置です。「糸目の中心」の位置はその凧が風を受けたときに支えるべき点のようなもので、その凧の持つ特性と言えます。(実際は、凧に働く力の中心と糸目の中心とは多少ずれています。)

従って、凧によって中心の位置は上下します。同じ形で同じ大きさの凧でも、凧の重さによっても変わってきます。(重い凧の糸目の中心は上になります。)

凧をよく作る方達は、この凧には糸目の中心をどこに持って行けばよいかを熟知しています。しかし、実際に凧を揚げてみて、不安定だと感じると、糸目の中心を上下させて安定が保たれるように調整することもよくあります。

凧が安定するかどうかは、糸目の中心がどこにあるかが大きく影響します。まさに、凧が空中でバランスを保つための最大の要因です。

ただし、凧が安定するための糸目の中心はピンポイントではありません。これまで紹介してきた安定を保つための工夫などによって、ある程度の許容範囲はあります。

安定させて揚がる凧を作るためには、まずは書籍や先達が示してくれた糸目の中心の位置になるように糸目をつけることでしょう。

つづく

凧が揚がる原理 安定性−安定のための工夫 その2

前記事で、凧が安定して揚がるための工夫をいくつか説明してきましたが、今回は、その続きです。

(4)形

凧には揚がりやすい形と揚がりにくい形があります。

平面的に見た場合、長方形の凧だと、普通は縦に長い長方形になっています。これが横長の長方形になると、安定を保ちにくく、それを揚げるためにはいろいろな工夫が施されています。

一般的に縦長の凧の方が安定しやすく、横長の凧は揚力を得やすい反面、安定を保つのが難しくなります。

しかし、鳥の形をした凧や三角形の洋凧のように横の長さが長い凧もありますが、それらのほとんどはうまく風を逃がすしバランスをとる工夫がされています。

これから、凧の形と安定の原理の関係を説明しますが、ここで言う形というのは平面的な凧の形ではなく、立体的に見た凧の形についてお話しします。

例えば、前項の角凧の場合は、図18のように、一番上の横骨は糸で反らせていますが、真ん中の横骨は風を受けると上の横骨よりも深く曲がるようになります。

そして、中心の縦骨も斜めの骨も少し曲がり、凧の表面が曲面になります。

凧を立体的に捉えて、このような形になることで、風を逃がし、安定を保つことができるのです。

凧によっては、中心の骨を曲げておいたり、横骨に糸を張って反らせたりして、風が逃げる形を初めから作っている物もあります。

前項の骨組みの構造も、この風を受けたときに安定を保てる(風をうまく逃がせる)形をどう作っていくかということにつながっています。

さらに、もう一つ、六角凧を例に挙げてみます。

凧の原理19
六角凧の骨組みは図19(a)のようになっています。

中心の骨はしっかりした骨になっています。これが曲がってしまうと、極端に揚力が失われるからです。

2本の横骨は、糸を張って反らせますが、下の骨の方を深く反らせた形にします。

さらに、風を受けたときには上の横骨の方が強く風圧がかかるので、上の横骨が下の横骨よりも強くしていることで安定します。

そして、風を受けたときは図19(b)のように、風が上下左右にうまく流れるような形にします。

六角凧は風を受けたとき、上の横骨が下の横骨よりも深く曲がってしまうと、下の方に風が溜まり、凧に働く力の中心が大きく下に下がります。(図20)

それにより、バランスが崩れ、凧が回ってしまいます。

不安定な六角凧の変形
そのため、風の強さが変わっても、風が押す力の中心の位置があまり変わらないように、上の横骨の反りよりも下の横骨の反りが深くなるような構造にしています。

このように、凧の形は平面的に安定しやすい形ではなく、立体的に見て、うまく風を流し、安定を保つことのできる形を作っています。




(5)糸目を付ける位置

糸目というのは、凧に付けた数本の糸のことで、これによりバランスをとっています。

凧の糸目
まずここでは、六角凧の例で、糸目の位置についてお話しします。

六角凧は上の横骨よりも下の横骨の方が深く曲がるように形作ることで安定が増すのですが、糸目を付ける位置も、この形作りに貢献しています。

図22のように、六角凧には横骨に4本の糸目を付けますが、上の横骨に付ける位置と下の横骨に付ける位置は違っています。

六角凧の糸目
図のように下の横骨の方が糸目の間隔が短くなっています。

これも、風を受けたときに、下の横骨の方を曲がりやすくするために一役買っています。

凧は風を受けて支えるべき所は支え、風を逃がすべき所は逃がせるような構造になっています。

糸目を付ける位置は、この構造を作るためにも重要なポイントとなっているのです。

形が変わらないように、ガチガチに固めるために糸目を付けるのではなく、安定を保てるように変形できる位置に付けると言った方がいいでしょう。

また、糸目は風によって凧に働く力のバランスをとって、安定させるための物です。

よく凧の絵として、下の図23のような糸目の付いた凧を見かけますが、このように、四隅に糸を付けたのでは凧は揚がりません。

間違った糸目
角凧の糸目は骨組みや大きさによっていろいろな付け方がありますが、よくあるのが下の図24のようなパターンです。

角田凧の糸目
今度は「風を逃がす」という観点ではなく、凧が風を受けて働く力を「どう支えるか」という観点で見てみます。

2本の糸目
図25(a)はモデル的に凧を横から見た図で、2本の糸目で凧を支えています。

風によって、凧の表面を押す力の分布を考えると、図25(b)のように、曲がった棒を2本の糸で吊しているのと同じ状態です。そして、この曲がり方が風の強さによって変わっていくと考えます。

糸目の付け方とバランス
図26(a)のように両端で吊すと、曲がった棒はひっくり返ってしまいます。

しかし、図25(b)のように支えると揺らしてもひっくり返ることはありません。

また、図26(b)のように、曲がり方が多少変わっても大丈夫です。

このように、凧に付ける糸目は、変化する風の力を柔軟に支えられるように工夫して付けられています。

さらに、ここで説明した糸目は、一般的な凧の糸目による安定の原理です。凧によっては、長い糸目を付けてしっぽの役割を果たすものもあります。

また、すべての糸目がたるまないように均等に支えるように付けるのでなく、場所によっては少し長くして、たるんだ状態にしておき、風が当たると効き出すような糸目を付ける場合もあります。

これらのいろいろな役割を果たす糸目も、その役割に応じて付ける位置も考えられています。


ここまで、安定して揚げるための工夫をいくつか揚げてきました。これらの工夫は、多くある中の代表的なものです。

凧は多くの種類がありますが、それぞれの凧にはそれぞれの安定して揚げるための工夫があるのです。

凧作りの名人達は、それぞれの凧に応じて豊富な知識と経験を生かし、作る上で細かな工夫を施しています。この章では、安定の原理とともに、先人達の知恵の一端を感じていただければ幸いです。

つづく

凧が揚がる原理 安定性−安定のための工夫 その1

 凧を安定させる一番簡単な方法は、しっぽを付けることです。しかし、いくらしっぽを付けても、凧自体が安定しない構造になっていたのではどうにもなりません。

これまで、凧を反らせることで安定が保たれるからくりを説明しました。その結論として「風をうまく逃がして安定を保つ」というのが私の持論です。

ここでは、「反り」以外に凧が安定するための要因となるものをいくつか取り上げることにします。


(1)翼面の柔軟性

凧は翼面が、和紙やビニール袋、布など柔らかい物で作られます。

これは、重さを軽くするためだけではなく、風が当たって滑らかな曲面が作られ、風をうまく逃がす形状となり、安定に一役買っているからです。

このことは、前記事でもダイヤ型の凧を例に説明いたしました。

柔らかな生地で凧を作るということは、安定性に関わっているのです。

例えば、鳥凧を和紙で作る場合は、和紙を一度くしゃくしゃにして揉んで、さらに柔らかくします。これにより、風の流れがスムーズになり安定が増すというわけです。


(2)骨組み

骨組みは凧の構造を決める大切な要素です。骨組みが変わると、同じ形の凧でも揚がらなくなります。

その理由は、骨の位置によって、凧の表面を流れる風の流れ方が変わってくるからです。

例えば、図16のように同じ正方形の凧でも、骨組みが違うと性能は全く違ってきます。

凧の原理16

図16(a)では縦と横に十文字に組んだ骨にしていますが、これだと凧は不安定な上に揚力の発生も悪く、いくらしっぽを付けてもうまく揚がりません。

そこで、(b)のような骨組みにすると、よく安定し、しっぽがなくても揚げることができます。

これは、適度に風を上と下に流し、横骨から下の面は風をはらんで左右に風を分ける構造になっています。

このように骨組みは風をどう逃がすかに大きく関わってきます。

次に、小さな角凧の骨組みを見てみましょう。

凧の原理17

図17(a)のような骨組みだと、左右に風を逃がすことができます。(b)のように真ん中にさらに横骨を入れる物もありますが、そのときには弱い骨を入れ、風の逃げ道を妨げないようにします。

また、普通の角凧の場合は、一番上には必ずしっかりした横骨を入れます。

なぜなら、凧の上部では風が上に向かって逆流し、風圧が高くなるところなので、ここにはしっかりした横骨を入れるのです。そして、この最上部が弱いと揚力が落ちることにもつながります。

このように、凧の形に合わせて、どこに骨を入れるかということも大切ですが、さらに、それぞれの骨の強さも安定の要因となっています。


(3)骨の強さ

骨組みは骨を付ける位置とその強さによって凧の構造を決定します。

少しの風で空に浮かべるためには、凧の骨はできるだけ軽くしたいところですが、風圧のかかる所はしっかり支えて揚力を発生させなければなりません。

また、うまく風を逃がすためには、強さを弱め、柔軟性のある骨にすべき所もあります。

もう一度、角凧を例にとると、図18のようになります。

凧の原理18

凧の表面に当たった風が周りにうまく流れるようになっています。

上部の風圧の高いところは、しっかりしなければなりません。特に、最上部の横骨は図18(b)のようにゆがんでしまうと左右のバランスが崩れ、凧は回転してしまいます。

また、真ん中にある横骨は左右に風を逃がすためには弱い骨でなければなりません。

このように、骨の強さは、風をしっかり受けながら、うまく風を逃がすように強弱をつけているのです。

つづく
 

凧が揚がる原理 安定性−風を流す

前回の記事で、「反り」による安定の原理を説明しました。凧を反らせることで風を分けて流すことができ、安定を保つことができるというものです。

これは左右のバランスを保つ作用ですが、上下のバランスを保つ作用はどのようになっているのでしょうか。

前記事の図8を再掲してみます。

凧の原理8

風は凧の上部からも下部からも回り込むように流れ、全体を包み込み、安定を保てるように働いています。

 しかし、これだけでは安定の原理とはなりません。

そこで、ダイヤ型の凧を例にとって安定の原理を説明します。

「反り」を入れたダイヤ型の凧は下の図14のようになります。

骨組みは、縦と横の2本の骨です。

凧の原理14

ポリシートや紙で作ったダイヤ型の凧は、図14のように「たるみ」ができます。

この「たるみ」ができたダイヤ型の凧が風を受けると下の図15のようになります。

凧の原理15

翼面は骨のところで山折りになります。そのため、凧の横骨より上の上部に当たった風は上に上がり凧の裏面へと流れていきます。

反りによって風が左右に分かれて流れるとともに、上下にも分かれて流れます。つまり、全体を包み込むように流れています。

前記事で説明した「反り」と同じ原理が凧の上下に対しても働いてきます。

これにより、全体的に凧が傾かないように、風が周りから掴んでくれている状態になります。

このように、凧のバランスの原理を考えるためには、凧が揚がっている状態を輪切りにして一方向だけの力の作用を考えるのでなく、立体的に見て考察しなければなりません。

凧は、安定したテーブルの上に細長い鉛筆を立てているような、微妙なバランスで揚がっているわけではありません。

自然の風は、常に強さや方向が変化しています。それにより、凧に働く力も変化し、翼面に働く力の中心点の位置や強さ、向きも変わってきます。

その変化をうまく吸収して、安定した体勢が保てるような工夫が凧にはあるのです。いわば、自動安定装置と言ってもいいのではないでしょうか。「反り」もその自動安定装置の一つなのです。
そして、この自動安定装置の多くはこれまでダイヤ凧で説明してきたような、凧の表面を流れる風をうまく流して安定を保てるようにしています。

私が凧を作る上で大切にしていることは、「風をどう逃がすか」です。これを考えることで、凧作りの精度がかなり向上してきました。

非対称の凧 
(工夫すれば左右が非対称な凧でも揚げることができます。)


さらに、凧には安定を保つための工夫がいろいろとありますが、それらにも限界があります。

多少は緩和できても、限界を超えると凧は回って落ちてしまいます。

弱い風の時は揚がっていても、強い風の時は揚がらなくなるというのはよくあることです。凧には、安定して揚がる風の範囲があります。

風が弱いと揚力が足りなく揚がりません。しかし、風が強いとよく揚がるというわけでもありません。

強いと風の流れが変わり、さらには翼面が変形して凧に働く力の中心が変わります。その変化が安定装置の限界を超え、制御不可能となり、回って落ちてしまいます。

さらには、強い風で凧が変形して揚力が発生しなくなることもあります。


さて、話を戻して凧を安定させるしくみについてお話しを続けましょう。

前述したダイヤ型の凧は生地となる紙やポリシートのたるみによって風がうまく流れるようになっています。

これが、柔軟性のない薄いプラスチックの板だと、こうはうまくいきません。

普通の角凧でも、ボール紙などの堅い紙を使うと安定は極端に悪くなります。

和凧は、柔らかい和紙に柔軟性のある竹の骨を貼って作ります。この素材の良さがよく揚がる凧を作れる要因となっています。そして、それが日本の凧文化を発展させた一因となっているのかもしれません。


ここまで、安定の原理をおおまかに説明してきましたが、安定して揚げるための工夫はいろいろとあります。

ここでは凧が安定して揚がるしくみを説明していますが、安定の工夫はそのまま、揚がる凧を作るためのポイントとなるでしょう。

次回からは、その工夫をいくつか取り上げて説明したいと思います。


 

凧が揚がる原理 安定性−反り

凧が安定して揚がる構造の一つに「反り」があります。

下の画像は、角凧を上から見たものです。横骨に糸を張って凧を反らせています。

凧の反り

ほとんどの凧は、翼面を反らせて、「反り」を作っているか、風を受けて反りができる構造になっているかです。

「ゲイラカイト」と呼ばれる三角形の凧も風を受けて翼面がくの字型になるように作られています。

この反りによる安定の原理は、下の図11によってよく説明されています。

凧の原理11
反りがあると、図11の右の図のように、傾いた側の翼面に多くの風が当たるようになり、反対側は当たる風が少なくなります。

そのため、傾いた側が押されて元の左右対称の位置に戻ろうとするのです。

要するに、状態が変化したときに、元に戻ろうとする力が働くというわけです。

これは、「やじろべえ」でも同じような原理が働きます。

凧の原理12
「やじろべえ」は重力によって、元に戻ろうとする力が働き、安定を保っています。

しかし、凧の「反り」の効果はこれだけではありません。「やじろべえ」のような重力による安定とは違った原理が働きます。

凧の原理13
「揚力」の章で説明したように、斜めになった翼面に風が当たることで、斜めに押そうとする力が働きます。

図13(a)のように、左右の面には内側に向いた力が働きます。

さらには、風の流れを考え合わせると、図13(b)のようになります。

両端は風による巻き込みが起こり、さらに内側に向かう力となります。

このように、凧を反らせることで、風の流れを左右に分けることができ、それによって、凧を左右から挟み動かないようにする力が働くのです。

凧の反りは、傾いたときに元に戻ろうとする作用もありますが、どちらかというと、凧が向かってくる風に対して安定する向きになるようしていると言う方が的確ではないかと思います。

凧の「反り」は凧自体が安定して揚がるための一要因です。しかし、このように風の流れで安定を保つような作用が生まれるという考え方は、凧の安定を考える上で重要な考え方となり、安定の原理と言えると思います。
 

凧が揚がる原理 安定性−バランス

前章では、空に浮かぶ原理(揚力)についてお話ししました。

この章では、空で安定を保てる原理についてお話しします。

いくら揚力が働いて空に舞い上がっても、紙切れが舞い上がるのと同じようにコントロールが効かず、落ちてしまっては凧とはいえません。

凧が揚がるのは、揚力をうまくコントロールして、空に浮かび続けていられるからです。

そこにはうまくバランスを取って、落ちないようにしている工夫があります。

しっぽを付けたり、糸目を長くしたりするのも安定を保つための方法です。しかし、今回は凧自体が安定しようとする原理をお話しします。

凧の原理8

凧の揚がる角度を固定するために、凧の表面には何本かの糸を結びつけています。それを「糸目」と言います。

この糸目の付け方で上下のバランスをとり、安定させて揚げることができます。

力学的な考え方では、図8のように、凧糸の方向と凧に働く力の合力が一致していれば安定するはずです。

重力に置き換えて言えば、物体の重心を支えれば小さな支点でも支えることができるのと同じです。

しかし、実際はこの力学的なバランスの原理だけでは安定しません。

論理的にはバランスをとれても現実には安定を保つことはできません。次の図9のような「やじろべえ」を立てるのと同じです。

凧の原理9

論理的には中心を支えているので左右のバランスはとれていますが、実際に立たせるのは至難の技です。

また、風は均一に吹くとは限らず、向きも強さも常に変わってきます。

さらには、風の変化により凧に働く力の合力の位置や向き、大きさも変わってきます。

凧に働く力の中心を支えるように糸目を付けるというだけでは、風の吹く中で図9のやじろべえを立たせるようなものです。

では、凧が安定を保っているのはさらにどのような作用があるのでしょうか。

まずは、やじろべえに置き換えて考えてみましょう。

やじろべえを安定して立たせるためには図10のように作ります。

凧の原理10

左右に重りを付け、重心を支点よりも下になるようにします。

こうすることで、多少傾かせて置いてもきちんとまっすぐに立ってくれます。

凧にもこれと同じように、微細なバランス状態ではなくても真っ直ぐに揚がって安定してくれる作用が働いています。

ただし、やじろべえの安定の原理と凧の安定の原理は違っています。

やじろべえは重力による安定で、凧は流れる風による安定です。

この流れる風(粘性を持った流体)による安定の原理について、これから説明していきたいと思います。
 

凧の揚がる原理 揚力ー2

前回の記事では凧の揚がる原理として、風を受けて(空気が凧の翼面にぶつかって)斜め上に押されると説明しましたが、実際はさらに付け加えなければならないことがあります。

それは、空気の粘性です。

空気はサラッとしていますが、粘り気も持っています。

凧の揚がる原理6 
たとえば、風に対して建物の後ろ側にいたとしても、風は回り込んできます。

前記事の図2のように、飛行機の翼のような流線型の曲面だと気流はその曲面に沿って流れてくれるのも、この粘性があるからです。

では、実際に凧の翼面の風の流れはというと、下の図7のようになります。

 凧の揚がる原理7

図7のように、横から吹いてくる風は、最上端でまっすぐに流れる風と下に流れる風に分かれるのではなく、翼面の上部の風はさかのぼるように上に向かって流れる気流が生じます。

また、翼面を流れる気流は凧の裏面に巻き込まれるように流れていきます。

このように、風を粘性のある流体としてとらえると、前回の記事「揚力ー1」の冒頭で取り上げた、気流によって起こる気圧の差からの揚力が発生することになります。

ここに至って、ベルヌーイの法則やクッタ・ジュコーフスキーの原理というのが使われることになります。

さらに、加えれば、凧に働く力を一つの矢印(ベクトル)でまとめた凧に働く力の合力(斜め上に押し上げる力)は、図7のようになります。

粘性を考えないと、凧に働く力の合力は凧の真ん中を翼面を真後ろに(垂直な方向)に押すようになるのですが(図4)、実際は、力の中心は凧の上部に寄り、力の方向も凧の面に垂直とは限りません。

それで、凧を安定させるために付ける糸目は上が短く、下が長くなるのです。

これまで、凧がなぜ揚がるのか、その原理はヨットや帆船が進むのと同じような風の力というのを大まかなとらえ方としてきました。

そして、さらに実際の現象を説明するために、風を粘性のある流体としてとらえ、気圧の差から生まれる揚力を付け加えるに至ったわけです。

私としては、凧の揚がる原理(揚力)をいきなり航空力学的な飛行機の飛ぶ原理を用いるのではなく、単純に風が物を押す力としてとらえることを切り口とした方が違和感のない説明のように思います。

それで、なぜ凧が揚がるのか、凧の揚がる原理を一口で言えば、「空気がぶつかってきて斜め上に押し上げがられているから。」ということになるわけです。

何を持って凧が揚がる原理と言うのかは、どれが間違いというわけではなく、どれも正しく、ただ観点の差というところでしょうか。

さらに、付け加えなければならないのは、図7で示した風の流れや力(ベクトル)の方向・位置はモデル的に示した物です。

実際は凧の形、骨組みの構造などによって風の流れは複雑に変わってきます。

さらに詳しく示すなら、横から見た平面の図だけでなく、空間に浮かぶ物として立体的にとらえなければならないでしょう。

しかし、ここでは、ただ揚力の発生するメカニズムのみを簡単に説明するに止めることにします。

風が粘性のある流体であることで、揚力は発生し、より複雑な力が凧に加わることになりました。

しかし、この粘性のある流体だからこそ、凧が安定を保つ構造を作ることができるようになります。

これまで、凧の揚がる原理として、凧に働く力(揚力)について説明してきました。

次は、凧の揚がる原理として、安定性(バランス)について説明します。

それは後日の記事にしたいと思います。

凧の揚がる原理 揚力ー1

凧はなぜ揚がるのか。凧の揚がる原理としてよく言われているのが、凧の風が当たる面(翼面)によって風の流れが曲げられることで揚力が発生するというものです。

凧の揚がる原理1 
図1のように凧によって流れが分かれて、凧の翼面の上と下で気圧に差ができます。

翼面の上の方の気圧が低くなるので、凧全体が後ろに押されるとともに上に引き上げようとする力が働くわけです。

この風の流れによって起きる気圧の差から生まれる揚力は、飛行機の翼の周りに起きる現象で、ベルヌーイの法則やクッタ・ジュコーフスキーの原理を使って説明されています。

凧の揚がる原理2 
図2のように、翼の上側を通る気流が下側を通る気流よりも速くなるので、上側の気圧が下がり、翼面を上に押し上げようとする力(揚力)が働くのです。

この気圧差による揚力は飛行機が飛ぶ原理としてよく用いられるものです。

しかしながら、凧は飛行機とは違って、風に向かって滑空しているわけではなく、しっかり風を受けています。

上記のような揚力も発生していますが、凧が糸を引く力のほとんどはこの揚力からではないはずです。

どちらかというと、空気に押される力によるものです。

 凧の揚がる原理3
 図3(a)では板の正面から物がぶつかってくるとそのままやってきた方向に飛ばされますが、(b)のように傾いた面に飛んでくると、板は斜めに飛ばされます。

空気は目に見えませんが、重さがある物体です。風が吹くと体に当たってその力(圧力)を感じることができます。

強い風だと人や物が飛ばされてしまいます。

その、空気が当たってくる力で凧が上に揚がろうとするわけです。

 凧の揚がる原理4
私の場合は、凧が揚がる原理を一口で言えば、「空気がぶつかってきて斜め上に押し上げられているから。」と言うわけです。

私は、凧が揚がる原理は、航空力学的な飛行機が飛ぶ原理よりもヨットや帆船が風を受けて進む原理の方に近いと思います。

ヨットは、風を受けながら、吹いてくる風に向かって斜めに進むことができます。これは、糸が付いている凧が揚がっていくのと同じ状況です。ただ、ここではヨットが風上に向かって走る原理については省略させていただきます。

話を戻すと、凧の揚力は斜めになった翼面が風を受けて押し上げられると言うことになりますが、ただこれだけでは現実に凧が揚がっている状況とは違ってしまうのです。

凧の揚がる原理5 
もし、空気がぶつかって凧を押し上げると言うだけなら、図5のように、凧の糸目は上と下が同じ長さ(糸目の中心が凧の真ん中)でも、上に上がっていくことになります。(重力を無視すればですが・・)

凧が揚がって糸を引く力のほとんどは風を受けての力ですが、やはりこれだけでは説明がつかないのが実際の状況です。

では、「凧の揚がる原理ー揚力」として付け加えるべきことは・・

次の記事で説明したいと思います。
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